一刻も早く信長を逃すためのしんがりをつとめた秀吉、
「ここで死ねば信長様への忠義の士といわれよう。また、ここを脱すれば大手柄といわれよう。どちらにころんでも損はない」
暗い悲痛な顔をしていても厳しい状況は何もかわらない。
だとしたら思いきり明るく、この戦を楽しむような気持ちで敵にぶっかってみよう。
と腹をきめた。
追撃戦は追う側が勢いがある。
だが秀吉軍は敵を相手に一歩も退くことはなかった。戦いは一進一退、どちらの勝敗もつかなかった。
しかし、兵が疲れてくれば数でおとる秀吉軍の不利は目にみえていた。
その時
山の頂から敵に鉄砲をうちかけ秀吉を援護する一団が現れた。
「勝った!」
秀吉軍はとうとう敵を押し返し、窮地を脱することができたのである。
鉄砲隊は信長が秀吉を守るためにわざわざ残してくれたものであった。
秀吉は主君の思いに涙した。
そして最も厳しい状況の中で逃げずに敵にぶっかっていくと腹を決めた時からいつの間にか守りが攻めに転じていったことを知った。
歴史研究家
三池 純正
より抜粋
感動の歴女
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