2010年7月27日火曜日

数学

数学でつまずく子供たちへより抜粋

数学でつまづく子供たちは少なくない。らしい。

「−×−は+である」

「反対の反対は賛成なのだ」とバカボンの台詞こそが教え方のツボだそうだ。


中学2でユークリッド幾何学の論証を習いどうにか中学数学を乗り切った人も

高校でサイン・コサインや対数で足を取られることになる。


数学でつまずいた人は
「自分がいけない」
と考えがちで自らの努力、能力不足のせいにする。

(筆頭この私!一人でも多くの人に伝えたい!いかに良い先生をみつけるかである)


でも、本当はそうではない。

数学でつまずくのは、
大胆にいえば、数学のほうに責任があるのだ。


数学は歴史の産物であり古代ギリシャ、インド、イスラム、ルネサンス・イタリア、近代ヨーロッパなどさまざまな文明でその地域的・歴史的な要請から生まれてきた。


だから変な偏りもあれば、

上手くつながってない部分もある。


そういう歴史的な「でこぼこ」のせいで
「現代の」子供達が足を取られてしまうのは、
もっともなことである。


このことは数学の先生も親も心得ていたほうがいい。


そうした数学の
でこぼこが歴史的プロセスのせいだと分かれば脱出の仕方もみえてくると云うもの。


幾何学を論証で組みあげる

「公理系」は

ファイナルファンタジーやドラゴンクエストのような冒険ゲームとまったく同じ構造をしている。
ロールプレイングゲーム(RPG)
とはおおざっぱにいえば

「戦闘で敵を倒しながら、経験値を積み上げ、より強力な武器を手に入れていく。
最も強い武器を手に入れて最後の敵をたおせば終了。
というものだ。


公理系は自明な法則(公理)を使って定理を次々に証明していく。

いったん証明された定理はRPGで手にいれた武器のように次の定理を証明する際に使うことができる。
確かに、そっくりだ。


「幾何学とは要するにユークリッド・クエストみたいなもの」
と説明すると

とたんに子供たちの目が輝き

幾何学の理解が格段に良くなった。


このように
子供達の中で
「数学の種」
は芽を出しておりそれにフィットする
何かに例えればすんなりわかってしまうー
いわば誰のなかにも数学はある。

もちろんそれ相応の執念と努力は必要。


ただそういう競争で勝てないからといって

「自分は数学に不向き」と思い込む必要はない、

オリンピック選手になれないからといって
泳ぐのをやめてしまうのと同じくらい
計算が上手にできないからと数学を捨ててしまうのは勿体ない。

あきらめなければだれもが楽しく泳げるように

誰もが数学を楽しむ素地をもっている


数学エッセイスト
帝京大学経済学部准教授

小島 寛之


著者
エコロジストのための経済学

文系のための数学教室

数学でつまずくのはなぜか

0 件のコメント:

コメントを投稿